04.エンバグだー

最近例外エラーが続発する。
今までの傾向を分析する限りでは、特殊な状況下において特に。
機械生命体たる私達にとって、例外エラーは忌むべき存在だ。
これはやはり、人間の手により造られた時からの宿命なのかも知れないとしても。
アナログな存在である人間はその例外エラーに執心するようだ。
が、私達は違う。決してそのようなものに囚われるべきでは無い。
人間のアナログ故の過ちを繰り返さない為に、私達はデジタルなのだから。
だからこそ、この特殊な例外エラーは私にとって相容れざるものだ。
特殊な状況下で頻発する以上、特殊な状況を減らすべきなのだ。
だが、それが出来ない。
特殊な状況――それは、私の整備担当である人間に近寄った時なのだから。
彼にあまり不必要な負担は掛けたくないのだが、この例外エラーはどうにかすべきだ。
よって、彼を飛び越え1セクション上位の担当者にメンテナンスを要求した。


待つ事6800217ミリ秒、予期しなかった事に「彼」の姿がハッチから見えた。
それだけで感情処理ルーチンが例外処理を続発させる。
常に冷静で最善の判断を下すべき私達機械生命体がこれでは……
「大丈夫かい、“ティステリア”?」
彼の声が私の識別用コードを基本的な心配の定型詞とともに読み上げる。


SYSTEM OVERFLOWN; SHUT DOWN...


結果:13分27秒
よく考えると、まだエンバグしてない気もするけど。
このまま行くとゴースト無関係なまま書く記録を伸ばしそうorz