夜はお静かに

最近めっきりと朝方には冷え込むようになってきた。
しかし、寝付く頃の暑さは堪える。
秋に近付いている感覚は有るが、とてもまだ秋を信じられない。
しかし、昔の歌人はこれを既に秋と詠み秋モードだったのだろう。
……そういえば、昔むかし、我が家の前は空き地だった。
当時は秋になるとコスモスが一面に咲いたものだった。
夏のセイタカアワダチソウとは違い、如何にも「花」といった感じで、
こう、何の感慨も無く「咲いた」と思っていたものだ。
尤も、投球練習をしていた直線的な空間――ブロック塀とその間――
の場合は話は別で、車の転回に使われていた事もあり、
秋の彩りが添えられる事は無かったのだが。
思い直せば、「昔はものを思わざりけり」というものである。
まあ、元の歌では逢瀬の後の複雑な恋愛感情をこそ、
この言葉に託しているのだが。